心の旅路
遠距離通勤では電車が混む前にある程度職場に近づいておきたいので、朝食も食べずにバスに乗ります。そして私鉄、JRと乗って、地下鉄への最後の乗換えの時、いったん駅を出て朝食にします。
最近はいちばん早いバスで出てくるのでかなり時間の余裕があり、コーヒーショップのモーニングセットをゆっくり食べます。今日もサンドイッチを食べ終え、コーヒーを口に運び、読みかけの本でもとカバンから取り出してテーブルに置いた本のブックカバー書かれた言葉に目を奪われました。
本は心の旅路
コーヒーずずっ。
本は心の旅路
ズズッ
本は心の旅路
なんと味わい深い言葉!心にひっかかります。
そのカバーの書店名は有隣堂。
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有隣堂さんは、文庫本を買うとカラフルでエンボス加工の紙でできたブックカバーを好きな色のものを選ばせてくれて嬉しいのですが、このとき読んでいた本は大きめのサイズで、選択の余地なくベージュ地に緑の幾何学模様のカバーです。そこに書店名とともに書かれたこのフレーズ。私たちを読書にいざなう、さりげなくも力強く、心に刺さる鋭さも感じるこのフレーズ。心の「旅」でなく「旅路」というところもミソです。旅の行程のうち目的地ではなくその途中を取り出している。
私たちの心は旅をする。
本という旅路を通って。
そう、読書は旅の途中。
読めば読むほど続く旅。
どこまでも続く。
心はどこにでもたどり着ける。
そんな考えが頭を巡ります。
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有隣堂さんのウエブサイトによると、明治42年、横浜伊勢佐木町発祥の本屋さんで東京、神奈川、千葉に店舗があるそうです。書籍販売のほか、カルチャーセンターや音楽教室など事業をされているようです。文具通販のアスクルを始めたとも。
https://www.yurindo.co.jp/storeguide/
有隣堂の名は論語の「徳は孤ならず、必ず隣有り」(徳のある人は孤立せず、共鳴する人が現れる)からきているそうです。これまた高尚です。
目的買いのネット販売に押され気味の本屋さん、これからも本棚いっぱいに旅路を詰め込んで、心の行く先を迷わせてほしいです。